ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
『あらー、珍しい!健ちゃんもー?』

打ち合わせした訳ではない。
健もとびっきりのスーツで来た。

『すいません、遅くなっちゃって』

『いや、俺も今来た所』
『…それより、カッコいいじゃん』

奥からママ登場。

『ぶんちゃん、健ちゃんいらっしゃーい』

『なんか今日2人とも男前だねぇー』

更にママが言う。
ぼくはママに弥生とさつきを付けてくれるように頼んだ。

さつきを着けたのには訳があった…


『あっ、そういえばこの前、ぐっさんに会いましたよ』

『そうか…元気だったか?』

『相変わらずでしたね、奥さんと買い物してましたよ』


ぐっさんはベガスでの裏ロムの事件でパクられて、会社は勿論クビになった。

ぼくは月に100万を支払う事で4店舗にロムを仕込んでもらっていたが、思ったほど長続きしなかった。

裁判は執行猶予付きで出てこれたが、なにしろクビになったのだ、ぐっさんには500万を渡した。
終わりまでの抜いた金の半分だ。

今は違うパチンコ屋で働いている。


『ぶんさん達って、仕事なにやってるんですかー?』

さつきに聞かれる。

『あんまり聞かない方がいいよ、どうせろくな事してないんだから』
< 31 / 168 >

この作品をシェア

pagetop