意地悪なきみの隣。




「焼けるだけだよ〜」



「こら!そんなこと言わない!1年に一度なんだから楽しもう!」



だだをこねる陽菜ちゃんの腕を引っ張り教室から引きずり出す。


グランドへ出ると熱気がすごい。



今日は高校生初めての体育会。



通気性が悪い体操服だから、何もしてなくても汗がたらりと流れる。


う〜あっつい。


隣で陽菜ちゃんはひたすら日焼け止めを塗る。


確かに色白の陽菜ちゃんからしたら最悪なんだろうなあ。


観覧席に座り、開会式を待つ。


高校の体育会は中学なんかよりも規則がゆるいから、歩き回ったり購買に行ったりしても大丈夫。


だから写真だっていっぱい撮るんだ。



「西野、怪我大丈夫なの?」



「いーったい!もう!やめてよーっ!」



私の前の席の中島くんが怪我をした膝をぺしぺしと叩く。


もちろん、治っているわけもなく絆創膏さんにお世話になっています。



「そんなんじゃ今日無理じゃね?」



はっと傷を顎でさしながら笑ってくる。


た、確かに治ってはいないけど走れることくらいできるもん。



「いけるよ!捻挫とかじゃないんだし!」



中島くんは私を甘く見すぎだ。

怪我くらいどうってことない。



「じゃー借り物競争もぶっちぎりの1位だな?」



うっ……。

それを言われると自信はない。


だって、予行練習でしたときは6人中最後から2番目だったから。


走るのも遅いし、話しかける勇気もなくてオドオドしてたら皆がどんどん行っちゃって…。



「最下位にならないように頑張ります…」



今約束できるのはこれが精一杯。



< 30 / 214 >

この作品をシェア

pagetop