さようなら僕の死神
その次の日、僕はいつもと違う気持ちで登校した。


あの時、あの瞬間から世界が光を放っているようにすら見えた。


あっ、これ恋だ。と確信した。


今までかすんでいた世界が、その隙間を除いて適当に生きてきたその世界がとても美しかった。


その輝きが、学校にまで、



「祠堂二月です。みなさんこれからよろしくお願いいたします。」


ここにまでおよぶとは・・・・。名前は当然違えど顔が同じ。
あの僕の頭から離れないあの顔を僕が間違えるわけがない。
それどころか、あの美しい顔が僕を引き付けるような人が他にいるわけがない。



僕の眼は一日中彼女にくぎ付けどころか、離れなくて、他のことは頭の中に入ってこなくて。


自分が嫌いだったはずの自分が自分ではないような気がしてくらくら、ふわふわした。


彼女に話しかける人、彼女を見る人すべてが気に入らなかったが転校生、おまけに容姿が整っている彼女に周りが騒ぎ立てないわけがなかった。


ちなみに彼女はこちらのことをちらりとも見なかった。僕はずっと彼女のことを見ていたから彼女が少しでもこちらを見ると目線が合うはずなのだがそれがまったくなかった。



もう、こうなったら僕から話しかけるしかないだろう。

覚悟なんているわけがない。だって僕が彼女に話しかけるのに理由なんていらないのだから。


「久しぶりっ。こっちに引っ越してきてるだなんてなんで教えてくれなかったの?」


「え?」


僕はわざと彼女と顔を寄せた。彼女は顔色一つ変えなかったが、赤くすらならない。


「えっ、僕を驚かしたかったなんて・・・・、照れるからやめてね。変わらないねーふっちゃんはー。」


全力で知り合いのふりをした。彼女が周りにばれないように僕を睨んでくる。
初めて殺気というものを感じたかもしれない。




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