さようなら僕の死神
淡々と僕に伝えた彼女に目を離せなかった。

ただただ美しいと思った。言葉なんて関係ない。


彼女の正体とか、何それ美味しいの?だ。


「期限は90日。卒業は無理そうですね。進学もギリギリといったところでしょうか。」

もう1月だ。最近時間が進むのが早い気がする。ああ、もう1月なのか。

僕はもうすぐ高3になるのか。


「君は僕のことを知っているの?」


「はい、知っております。残念ながら。」


全然知っていて構わない、むしろうれしい。


「こんなの覚えたくなかったです。」


自分が残念に思えているらしい。


自己嫌悪しまくっている僕にとっては羨ましい限りだ。


「残り90日有意義に生きてください。最後くらい駄目じゃない人生を送ってください。」


ちなみに淡々と彼女が話しているせいかいまいち実感どころか、この話そのものが信じられないが、本当だったらいいなと思う。

自殺はいやだったから、そんな風に人生終われるなら最高だ。

むしろ彼女に終わりにされたい。

そんなことを考えていると先ほどの言葉で話すことはなすことはなくなったらしく、彼女は去ろうとしていた。


「まってほしい。」


「はい。」


「君は誰だ?]


「・・・・・


彼女は僕にそれを伝えた。自身の名を僕に伝えた。

その名は僕にだけ伝えられた名で、僕だけが知っている彼女の名前で。

その名すら愛おしく感じる。


だから彼女を僕はこうよぶ。呼ぶたびに彼女を感じる。


「私は死神ですよ。」


ね、僕の死神。



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