あの夏の光の中で、君と出会えたから。【旧・あの花続編】
【ご連絡】
こちらは旧版作品です。大幅加筆した新版が、ノベマ!で10/19~連載されます。
https://novema.jp/book/n1617017






 夏休みの直前に転校するなんて、あまりにも中途半端だと思う。


 どうせなら、夏休み中にのんびり引っ越しをして、二学期からの転入だったら、格好もつくのに。

 それに、夏休みに開催される最大の大会に、仲間たちと一緒に出ることもできたのに。


 ………とは思うものの、親が決めたことだし、仕方がない、と俺はため息を吐き出した。



 父さんが「急に県外転勤が決まっちゃって、単身赴任は寂しいから嫌だ」と言うのなら、

母さんが「少しでも早めに引っ越して、新しい土地に慣れておきたい」と言うのなら、

子どもである俺は従うしかないわけだし。


 俺は真新しいサッカーボールを軽く蹴って飛ばして、追いかけるように走りながら、

『でも、やっぱり、夏季大会は出たかったな………』

と、心の中で再びため息をついた。



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