あの夏の光の中で、君と出会えたから。【旧・あの花続編】
 さっき蹴ったボールに追いついて、次はもうすこし強めに蹴った。


 川沿いののどかな道を、ぴかぴかときらめく真新しいボールが転がっていく。


 このボールは、前の中学の最後の日に、サッカー部の仲間たちがプレゼントしてくれたものだった。


「涼がいないと寂しくなるけど、新しい学校でも頑張れよ」

「いつか全国大会で対戦しよう!」


なんてコメントとともに。



 俺らの学年でもダントツに上手くて、俺とはライバル関係にあった大地は、あとでこっそり俺のところにやってきて、


「いつかJリーグで会おうぜ!」


なんて、デカイことを言った。


俺は思わず噴き出してしまったけど、


「もちろん!」


と大地の肩を殴ってやった。



 そうやって俺は、新しい土地に引っ越してきた。


 前に住んでいた県から、電車で3時間もかかる、この土地に。




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