メガネ殿とお嫁さま

ーー

ーーー

「桜子ちゃんはいないよ。
いるわけないじゃん。」

沙羅ちゃんの独り言に
僕は気がつかなかった。

まさか、と思って、
つい、彼女を探してしまった。

そんなことあるわけないのに。


だけど、
僕は…。

そこへ、
要くんたちがやってきて、
一礼をした。


「この度は、ご婚約おめでとうございます。」

僕が頭を下げた。


「ありがとうございます。
至らないところもありますので、
これからもご指導のほど、
お願い致します。」

要くんが頭を下げると
沙羅ちゃんも頭を下げた。

二人とも、
普段からは想像もつかないほど、
品格と堅実さを纏っていた。

岩ちゃんが作った、白いドレスを
纏った沙羅ちゃんは、
もう、立派な女性だった。



僕らは、
少しづつ、
未来へと近づいていることに
気づき始めてた。


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