不順な恋の始め方
「そりゃあそうでしょうよ。憧れの王子様でしょう? 断る理由がないじゃない」
「そう、だけど………でも」
何もなければそれで良かったのかもしれない。でも、このお腹の中にはもう既に先輩との子供がいるんだ。
そう言いたいのだけれど、どうしてか口に出せず黙って俯いた私の心境を読み取ったのか
「どうしたいの?柚希は」
と、涼ちゃんが私に問う。
「どうしたいって言われても……」
私の言葉の続きは察してくれた涼ちゃんだが、今の私に〝どうしたいの?〟と問われても「分からない」としか言いようがない。
自分がどうしたいのか、どうするべきなのか、自分の事なのに全然分からない。
だって、あまりにも突然のことすぎる。
全く予想すらしていなかった結末に、私はまだ実感すらも湧いていないのだ。
「……これから、考える」
「これから考えるってあんた……はあ……まあ、いいわ。とりあえず産婦人科行きなさい。あと、坂口先輩にはこの事ちゃんと言いなさいよ?」