不順な恋の始め方
「坂口先輩に、言わなきゃ駄目?」
……本当に、坂口先輩にも言わなければいけないだろうか。
いや、普通は言わないといけないものだとは思う。
普通なら誰よりも先に、どんな事よりもすぐに言いたくなり、そして、迷わず言うものだと思う。
でも、私の場合は違う。
だって、ただの勢いとノリのようなものが作り出してしまった結果だ。
仮に報告したとしても、祝福どころか、その瞬間に私の存在は邪魔になり避けられてしまうだろう。
「何言ってんのよ。坂口先輩だって自分のしたことの重さを感じる必要があるんだから。柚希だけが傷ついて悩む必要ない」
大体こういう時に責任取れなきゃ男じゃないでしょ、と自分のことのように怒ってくれている涼ちゃん
私の為に眉間に皺を寄せて悩んで、腹を立ててくれている。
………もう、それだけで十分だ。
「うん、分かった。
とりあえず今日休みだから産婦人科でも行ってこようかな。仕事中ごめんね、ありがとう涼ちゃん」
ゆっくりとイスから立ち上がる
すると、涼ちゃんもイスから立ち上がり「うん、そうして。何かあったらまた来なさいよ」と言って手を振る
ひらひらと右手を振る涼ちゃんに、私も手を振り返して店をあとにした