不順な恋の始め方
「手伝うで?荷物」
貸してみ、と言って私の抱える資料へと手を差し出す坂口先輩
そんな坂口先輩の行動に反射的に身体を捻って距離をとってしまい、先輩の手は虚しく宙に浮いたままになる
「……あ……え、っと……いい、です。ひとりで運べますから。お疲れ様です」
私の行動に驚いている坂口先輩に、私はペコリと頭を下げて足早に去った
コツコツ、コツ……
「あぁ、今のは不自然すぎたかも」
急いで資料室へとやって来た私はドサッと大量の資料を下ろすと、ひとり小さく呟く
せっかく坂口先輩が手伝うと言ってくれたのに、あの態度はなかったなと思ったのだ。……これは反省しないと。
今までもそうだけど、さっきの行動を見る限りでもやはり坂口先輩は困っている人を放って置けないたちだ。
もし、私が子供が出来たことなんて伝えればきっと沢山悩んでしまうに決まっている。
坂口先輩は、そういう人。だから私も皆も憧れている人なんだ。
坂口先輩の株を下げるわけにもいかないし、このお腹の事はやはり言うべきではないと私は確信した。