不順な恋の始め方
私の家を知っているのは、あの日坂口先輩が私の家へと来たからで。
そして私は、曖昧な記憶の中からあの日の出来事を思い出してしまい、段々と火照ってくる顔を俯いて隠した。
でも、坂口先輩の言う〝話したいこと〟というのは何だろう。
坂口先輩が私とする話なんて仕事関係以外に何かあるのだろうか。
仕事以外だとすれば、やはりあの日のことしかない、はず……
だって妊娠の事は流石にバレていないだろうし……
ああ、なんだか〝あの日のことは忘れて〟とか言われちゃいそうだな……なんて思っている私の目の前の坂口先輩が口を開いた。
「オブラートに包むとか、そういうなん苦手やから……めっちゃ単刀直入に聞くけど、ええか?」
「え……あ……は、い」
申し訳無さそうにこちらを見て言った坂口先輩に私は頷くしかなくて、一度だけ首を縦に振った
すると
「子ども………できたんとちゃうかなあ思ったんやけど……違う?」
坂口先輩の口からは、想像はしていなかったものの、とても恐れていたひとことが飛び出して来た。