不順な恋の始め方
「えっと……覚えとらんかもしれんけど、今日のお昼頃に森下さん倒れてしもたらしいねん」
……ああ、やっぱり夢なわけないか。
会社で倒れてしまったという記憶は夢ではなかったという現実を坂口先輩の一言により突きつけられ、違う意味でドキドキと高鳴り始めた心臓だったが
〝らしいねん〟という言葉から坂口先輩はあの場に居なかったという事実が窺え、とりあえずひと安心。
しかし、その安心も束の間
「ほんで、営業から帰ってきた時にちょうど森下さん抱えとる大橋くんに会うてな。俺一応家知っとるし、森下さんと話したいこともあったしで、代わりにここまで送ってきたっちゅーことなんやけど……」
〝俺一応家知っとるし〟
〝話したいこともあった〟
という坂口先輩の言葉たちに、また再びドキリとさせられる心臓。