不順な恋の始め方
なあ、森下さん。と、坂口先輩が優しく私の名前を呼ぶ。
名前を呼ばれた私は、ぐっと服の袖で涙を拭い、坂口先輩へと視線を向けた。
すると
「………結婚、しよか。」
「…………え……………?」
坂口先輩の口から発せられたのは、プロポーズの言葉で。
でも、これは流石に聞き間違いだろうと思った。だって、そんなのいくら坂口先輩でもあり得ないと思った。
「さ、坂口先輩? 何言ってるんですか」
変な冗談ですね、アハハ。
と、そう笑ってみせたけれど坂口先輩の目は真っ直ぐで、真剣だ。
その瞳に、もしかして本気で言ってるのでは? と思ってしまいそうになる。
でも、違う。違う。と自分に何度も言い聞かせ、思い直した。