ジキルとハイドな彼
マンションの広々としたエントランススペースを通り抜けて外へ出ると、冷たい風が吹き付けた。
思わず私は目をギュッとつぶる。
コウが左手を差し出したので私はその手をそっと握り返す。
「コウの手あったかい。心が冷たいのかしら?」
私が思わず頬を緩めると「心も暖かいんだよ」と言ってコウはクスリと笑う。
マンションのすぐ向かいに面する公園を通り抜けると、ここ数日冷え込んでいたためか、木々の葉が赤や黄色に美しく色付いていた。
1人だと木が茂り鬱蒼としている公園もこうして手を繋ぎながら歩いていると紅葉が美しい、なんて思ってしまうのだから人間って現金だ。
コウの笑顔と別れるのが少しだけ寂しい気がして繋いだ手に力がこもる。
不意にコウが立ち止まり、こちらを振り向いた。
気持ちが見透かされたようで思わずドキっとする。
「薫、約束して欲しいことがあるんだ」
コウが繋いだ手をするりと離すと、今まで温もりに包まれていた手がひやりとした冷気に晒される。
「どうしたの?」
「近いうちに君はトラブルに巻き込まれるかもしれない」
あまりにも突拍子もない上に、縁起でもない予言をされ訝しい視線を送る。
「 何よ、急に。占いの類?」
「まあ、そんなところ」コウは肩をすくめる。
「トラブルって?どんな事が起こるの?」
「具体的には僕にもわからない。信じなくてもいいんだ。信じたところで危険が回避出来る訳じゃないから。ただ…」
ただ?と私が首を傾げて聞き返すと、コウはそっと手を私の右手をとる。
思わず私は目をギュッとつぶる。
コウが左手を差し出したので私はその手をそっと握り返す。
「コウの手あったかい。心が冷たいのかしら?」
私が思わず頬を緩めると「心も暖かいんだよ」と言ってコウはクスリと笑う。
マンションのすぐ向かいに面する公園を通り抜けると、ここ数日冷え込んでいたためか、木々の葉が赤や黄色に美しく色付いていた。
1人だと木が茂り鬱蒼としている公園もこうして手を繋ぎながら歩いていると紅葉が美しい、なんて思ってしまうのだから人間って現金だ。
コウの笑顔と別れるのが少しだけ寂しい気がして繋いだ手に力がこもる。
不意にコウが立ち止まり、こちらを振り向いた。
気持ちが見透かされたようで思わずドキっとする。
「薫、約束して欲しいことがあるんだ」
コウが繋いだ手をするりと離すと、今まで温もりに包まれていた手がひやりとした冷気に晒される。
「どうしたの?」
「近いうちに君はトラブルに巻き込まれるかもしれない」
あまりにも突拍子もない上に、縁起でもない予言をされ訝しい視線を送る。
「 何よ、急に。占いの類?」
「まあ、そんなところ」コウは肩をすくめる。
「トラブルって?どんな事が起こるの?」
「具体的には僕にもわからない。信じなくてもいいんだ。信じたところで危険が回避出来る訳じゃないから。ただ…」
ただ?と私が首を傾げて聞き返すと、コウはそっと手を私の右手をとる。