嘘つきなポーカー 2


パーク内に入ると、そこはまるで夢の国のようだった。

そこら中でテーマパークのイメージキャラクターが大勢の人に囲まれて立っている。

そんな様子を見ながら、薫が口を開く。


「おー、着ぐるみ大人気。」

「ちょっと…そんな夢のないこと言わないの。中の人なんて居ないんだからね。」


由佳は呆れながらそう言うと、アトラクションに向かう。

パーク内はとても広かったが、由佳は事前にマップを把握して、乗るアトラクションをいくつか決めておいたので、迷うことはなかった。


由佳が足を進めていると、薫が口を開く。


「俺、あれ乗りてー。」


薫がそう言って指差したのは、山の頂上からものすごい勢いで下っていく、ジェットコースターだった。

コースターが山を下るたび、乗客の悲鳴が聞こえる。


「え……」


由佳の額を冷や汗が伝った。

実は由佳は絶叫系が苦手だった。

幼い頃、恭平の家族と一緒に近くの遊園地に行ったことがあったのだが、その時に生まれて初めてジェットコースターに乗り、ものすごい恐怖で泣き喚いたことを覚えている。

由佳がジェットコースターに乗ったのは、人生でその1度だけだ。

その時、ジェットコースターにはもう二度と乗らないと心に誓ったのだ。


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