王様とうさぎさん
「消えました」

 そう報告すると、みな、一様に息を止めていたのか、あちこちで、息を吐き出す音がした。

「思うんですが、清香さんは、允さんに相談したかったのも確かだけど。

 允さんを困らせたかったのもあるんじゃないですかね?

 清香さんと付き合っていた忍さんが居るのに、こんなこと言うのもなんなんですが。

 鬱屈していた清香さんは、允さんが無理な依頼をされて、困惑するところを見たかったとか」

「あ~、そういうところあったねー」
と腕を組み、忍が言い出す。

「ええっ!?
 マジで!?」

 真人の中の清らかな年上のお姉様のイメージは崩れてきているようだった。

 まあ、この忍と付き合っていたという時点で、既に問題があるような。

「僕は清香のそういうねっとりとしたところ、嫌いじゃなかったんだけどね。

 意地が悪いわけじゃなくて、なんて言うの?

 淋しがりだから。

 允みたいに迷いなく生きてる男を見たら、縋りたいと思うと同時に、引きずり落としたいと思うんじゃないの?

 自分と同じ場所まで。

 僕じゃ、清香と似たタイプだからね。

 ちなみに、真人だと、清香に厭がらせされても、全然気づかなさそうだね。

 同じ状況でも、悩むことなく、清香に相談されたって舞い上がりそうだし」

 なんか……目に浮かぶようだ。
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