王様とうさぎさん
 忍は笑い、

「だからさ。
 あいつ、せいぜい、幸せにしてあげて」
と言った。

「断るとか、君の選択肢にはないからね。
 おめでとう王様」

 その流れで、おめでとうとか言われても……。

 忍は、
「ねえ、二度もキスした男に、結婚おめでとうって言われるの、どんな気持ち?」
と素敵な笑顔で訊いてくる。

「あの、二回目は私じゃないですからねっ」

 莉王は一応、反論してみた。

「あれは清香さんだったんですから」

「そういや、あのときは、君の意志じゃなかったね」

 そう言われると、まるで、一回目は私の意志みたいに聞こえるのだが。

 気のせいだろうか。

「まあ、せいぜい允、幸せにしてやってよ。

 ほんとはちょっと邪魔してやろうと思ってたんだけど。

 君が清香を殺した犯人、教えてくれたから」

「え、邪魔って」

 ずっと引っかかってたんだよ、と忍は言う。
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