王様とうさぎさん
「ああ、そういえば、あいつ、清香が死んですぐ、結婚したよ。
 教育長の娘とやらと」
と言い出す。

 ん? と気づいたように呟く。

「その教育長の家も寺だとか言ってたかな。

 そんな引っかかりもあって、同じ坊主の允に相談したんだったのかな」

「あの、その人は今」

「さあねえ。
 公立の高校だったから、どっか転勤してっちゃったんじゃない?」

「だったら、別れ話がこじれたにしても、転勤まで待って、離れればよかったのに。

 なにも殺さなくても」

「いやあ、清香は清香で誰にも渡したくなかったんじゃない?」

「そんな勝手な……」

「王様も殺されないようにしなよ、浮気とかして」
「は?」

「允、そういうタイプだよ。
 監禁とか殺人とか、思い詰めたらやりそう。

 今まで恋愛の経験がないだけに、のぼせ上がってそうだから」

 いきなり、なにを言い出すんだ、この人は、と思っていた。
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