王様とうさぎさん
「今日までお世話になりました」
日曜、荷物をまとめ、部屋を掃除して、由莉子たちに挨拶をすると、由莉子は何故か涙ぐむ。
「なんだか私がお嫁に出す心境になってきたわ。
今、莉王ちゃんのご両親もこんな気持ちなんでしょうね」
いや、なんか、急な式で、てんてこまいしていて、淋しいとか思う暇ないみたいなんですけど。
見れば、何故か及川まで、しんみりしている。
「よく頑張ったな、王様」
「あ、ありがとうございます?」
毎日、美味しいもの食べて、お義母さんとお話しして、酒を呑みくらって楽しく過ごしてただけなんですけど。
何故、こんなスポ根のノリに。
「さあ、今日は結婚式ね。
終わったら、ゆっくり寝て、お肌を整えてね、明日の結婚式のためにっ」
なんかややこしいな、と思いながらも、由莉子の気持ちはありがたく、
「はい。
ありがとうございます」
と微笑んだ。
最後にもう一度、ご先祖の間に挨拶に行く。
朝、お世話になりました、とは伝えたのだが。
もう一言、言うべきことがあったと気づいたからだ。