王様とうさぎさん
 向きを変えようとした莉王は誰かにぶつかった。

 なんだかいい香りがする。

 かと言って、女性的な香りではない。

「ってな感じで逃亡しようと企んでたわけか」
と声がして顔を上げる。

「……忍」

 厭そうに允が言った。

「来たぞ」
と重く言葉を押し出した允に、忍はあくまでも軽く、

「まあ、入りなよ」
と言う。

 今の会話を聞いていたのだろうに、入るのが当然のように鍵を開けている。

 それにしても、こう、なにか断りがたい笑顔だ、と思った。

 忍は男っぽい允とは対照的な容姿をしていた。

 線が細く、白系の服が似合う感じで、上品だが、何処か退廃的。

 全体的に色素が薄く、そして、なにより——。
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