王様とうさぎさん
 ほんと綺麗な顔してんな、とぼんやり見つめてしまう。

 男でそこまで綺麗でなくていいだろう。

 顔、取り替えてくんないかな、と暇なことを思った。

 だが、忍はそんな反応には慣れているらしく、全く気にしている風にもなかった。

「初めまして、王様。
 你好(ニーハオ)」

「ニ、你好」
 反射で答えたあとで、

 何故、你好。

 そして、何故、王様っ!

 おのれ、余計なことをっ、と允を振り向くと、こちらが視線を動かすのに合わせて、允は目を逸らせた。

 こいつ、押しが強いわりに弱いな。

 どうやら、面倒臭いことは嫌いらしい。

 そして、忍の你好の原因は、中華街に買い出しに行ったことのようだった。

 忍が手にしている買い物袋から香辛料の派手な赤いパッケージが覗いていた。

 それにしても、さすが、允の友人だ。

 マイペース。

 そして、今も、店内に入った途端、忍は何処かに行ってしまっていた。
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