王様とうさぎさん
「お、まーたーせー。

 允、携帯、車に忘れたろ。

 爺さんたちから、メールが来たぞ」
と自分のスマホをかざして見せる。

「爺さん、メールが打てたのか」

 何故か、允はそこにショックを受けているようだった。

 もしかして、彼はあまり携帯からメールを打つのが得意でないのかもしれないと思った。

 ソファで、大きな背を丸め、一文字ずつ探しながら、メールを打つ允の姿が頭に思い浮かび、笑ってしまった。

「……なにが可笑しい」

 気づいた允に恨みがましく睨まれたが、まあ、人には得意不得意がある。

 システムに居るのだから、コンピュータ関係は達人だろうに。

 携帯打つのは別なんだな、と思うと、なんだか微笑ましくもあった。

 まあ、彼女も居ないのなら、特に携帯メールを打つ必要もないのだろうが。

「さっさと取って来いってさ」

「もう諦めたのかと思ってたのに」
と允は呟く。

 しかし、あの爺さんたちの機嫌を損ねても厄介だ、と思っているのか、駐車場まで一人が取りに戻っていった。
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