王様とうさぎさん
 どうやら、及川もこの店の常連のようだった。

「開店前で、まだ人も居ないだろう。

 最後に、わしらの前で、キスのひとつもして見せろ。

 そしたら、信用してやる」

 は?

「そのお嬢さんは人が良さそうだ。

 允がうまいこと言って協力させてるだけかもしれん」

 おっしゃる通りです。

 いや、そうだと思っているのなら、今、更に私をピンチに陥らせるような、その発言はなんなんですか、と思った。

「よし、王様。

 これで終わりだ」

 よしじゃない、よしじゃないでしょうがっ。

 側に来た允から逃げようとして、カウンターに腰がぶつかる。

 允の大きな手が、逃げられないようにか、肩を掴んだ。

 殺されるっ!
と場違いにも思ってしまう。
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