キミがこの手を取ってくれるなら

それからも、奈子の気持ちが俺に向くことはなくて、むしろ怖がられていた。
俺なりに可愛がっていたつもりだったけど、奈子にとってはそうじゃなかったらしい。


中学に入ると、急に仲良くなってきた彼女に喜んだのもつかの間、奏の様子を報告するためだけに、俺は利用されてるんじゃないか?と気がついた。


けっこう強かに育った彼女にびっくりした。
……この、小悪魔め。


奈子が、陰で俺のことを『魔王』と呼んでるのは知っていた。

俺が魔王なら、お前は男たちの気持ちを弄ぶ、天然小悪魔じゃねぇか。

『王子と姫』より、『魔王と小悪魔』のほうがお似合いだろ?


俺も奈子の企みに気づかないふりをして、とことん利用することにした。


嫌だって言われるまで、ずっと側にいて、主役になれるチャンスをうかがうことに決めた。


変わってやる。意地でも。
バスケ部は厳しかったけど、部活の運動だけであんなに痩せる訳がないだろ?

恋の物語に、太った主役はまず、いない。
絶対、奏よりいい男になってやる。

そう思って努力したんだよ。
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