~SPの彼に守られて~
「5分の時間をやるから、必要な物を纏めておけ。スワン、5分で出発するからマルタイの勤務先の先着を頼む」

 鷹野さんは耳にかけているインカムを使って白鳥さんに連絡し、私はクローゼットの扉を開けて新しい服に着替えると、ベッドの下から急いで旅行カバンを取り出して、 着まわしが可能な洋服を数枚、下着に洗面用具、それと貴重品類を次々と旅行カバンに詰め込んで、なんとか完了かな。

「準備が出来ました」
「よし、出勤時間に遅れないように移動をするぞ」

 鷹野さんは旅行カバンを持つとすたすたと玄関に向かい、私は何でもやってもらうのは気が引けてしまうし、小さな子供じゃないのにな。

「鷹野さん、カバンくらいは自分で持ちます」
「いちいち気にしなくていい」

 お互い靴を履いて玄関を出て、私は腕時計を見ると、そろそろ電車に乗らなきゃいけない時間だ。

「鷹野さん、このまま駅に向かって良いですか?」
「電車じゃなく、これからの移動は全て車だ」
「そうなんですか?」
「電車だと、他の乗客に混じって狙ってくる奴等がいる可能性がある。それに逃げる時も動きづらいし、基本は警護中の移動は全て車になるからな」

 鷹野さんはそう言うと旅行カバンを後部にあるトランクに入れ、助手席のドアを開けた。
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