~SPの彼に守られて~
「その力、組織に役立つのに……、ッ!」

 そっと瞼を開けると龍崎さんの口から赤い滴が沢山流れ、膝から崩れ落ちた。

「入らないって言っただろ」

 鷹野さんは乱れた呼吸を整えながら自身のネクタイを解いて龍崎さんの傍に行くと、龍崎さんの両手を背中にまわしてネクタイで絞めて、私の方に振り向いた。

「千明、こいつを何処かに逃げられないように俺が捕まえておくから、悪いが俺の代わりに白鳥とインカムで話してくれないか?」
「わ、分かりました」

 鷹野さんの傍に行って左耳にかかっているインカムを外して、自分の左耳にインカムをかけなおした。

「もしもし、白鳥さんですか?」
『はい、白鳥です。車があと5分ほどで到着しますが、鷲宮さんの判断で警察もそちらに合流します。その後、そこにいる貴女を危ない目に合わせた相手を警察に引き渡すように鷹野に伝えて下さい。私もそちらに合流しますので、お待ち下さい』
「分かりました」

 ピッと音がして白鳥さんとの会話が終わり、私は鷹野さんに白鳥さんに言われた通りのことを伝えた。

「警察に連れて行っ…ても無駄…さ、我々の組織のことを話すこ…は無い」
「なら、ここで今言えよ。レオは何処にいるんだよ!言えって!!」
「ぐっ…」

 龍崎さんはぼそぼそとしゃべりだしたら、鷹野さんが物凄い形相で龍崎さんの胸倉を掴んで問いただすんだけど、これ以上掴んでいたら龍崎さんの息が止まっちゃうよ!!

 慌てて鷹野さんの腕を掴む。
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