ふりむいてよキャプテン
「ゆっちのこと気になってるんじゃない?
ヒロくんはなんとも思ってない子を誘わないだろうし」


ヒロくんの考えてることなんて分からないから、たぶんだけど。でも、なんとなくヒロくんはまるきりタイプでもない子を誘ったりはしなさそう。時間のムダ、とかいって。

そう言うと、だよね?とゆっちはいっそう目を輝かせる。


......ヒロくんはあんまりオススメできないんだけど、ゆっちがいいならいっか。意外とゆっちだと、ヒロくんと上手く渡り合っていけそうな気もするし。


「あみはどうなの?
にっしーとなんかあった?」

「なんでにっしー?
別に普通だけど......、たまに電話したり、それくらいかな」


今度はにやにやと私をつつくゆっち。

完全にBGMと化した退屈な校長先生の話、それからいたるところから聞こえてくるひそひそ声。


「えー、そーなんだー。
ねえ、にっしーって絶対あみのこと好きだよね?
にっしーいいと思うよ、にっしー」

「うー......ん......。
......あの、さ、......私好きな人できた」


始業式そうそうテンションの高いゆっちに、まだそこまでテンションの上がりきらない私。

にっしーの話題はひとまず流すことにして、とりあえず要点だけを伝えた。


誰も聞いてないと思うけど、一応念のために今までよりもさらに声をひそめて、ゆっちの耳元で。
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