ふりむいてよキャプテン
「だから!あみがいてくれるから、俺はがんばれるって言ったの!何回も言わせんな!」

「にっしー何言ってるんだよ。部活中だぞ?」



真っ赤な顔を上げて、大きな声を出したにっしーに、いつき先輩が後ろから近づき、頭を軽くコツンとした。



「い、いつき先輩!すみません!」

「冗談だよ。後は片付けだけだから、別にいいよ」



あわてて謝ったにっしーに、いつき先輩はそんなことを言いつつも、いつものように目尻を下げる。

それから、これもついでに洗っておいてもらえる?と雑巾を置いて、また他のところの片付けに走っていった。


いつき先輩がいなくなり、なんだかまた気まずくなって、無言で雑巾を洗う。



「にっしー、ベースカバー洗えた?」


「ああ......、うん」


「綺麗に洗ってくれてありがとう。
今日は一緒に帰ろ?
それと、明日水族館行こう」



にっしーに声をかけながら、蛇口をひねって水をとめて、雑巾をぎゅっと絞る。
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