ふりむいてよキャプテン
「まだ小野くんなの?
あみもたいがいあきらめ悪いよね。
にっしーもだけどー」


あきれたように私を見るゆっちに、そうだねと力なく返した。




あきらめの悪いことに私はまだ小野くんが好きだ......。でもさっきキスされてても拒否しなかったし、たぶんあのまま流されてた。


流されてた、というか、私は目までつぶって待ってたのに、何もしてこなかったのはにっしーだ。

私ただのイタイやつじゃん。


普通あの状況で、何もしないってありえる?
あんなことまで言っといて、私だってOKサインを出してたのに、いっとく場面じゃないの?


あんなんじゃ流されたくても、にっしーの方にいきたくても、いけないよ。

男ならもっとこう......、好きになった女には押し倒すくらいの気概できてほしい。


にっしーのばか!ヘタレ!意気地なし!
野球に対してはいつも攻めていく気満々なのに、恋愛方面には弱腰なんだから......っ!


流されなかったことにほっとするよりも、受け入れる気だったのに何もされなかった恥ずかしさやら、ヘタレにっしーへの怒りやらの方が強いくらいだ。
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