ふりむいてよキャプテン
「もういい。マネージャー、音を止めろ」


誰一人二番を歌えないという情けない私たちを見て、当たり前だけど、高田先生はお怒りだ。

さほちゃんがCDを止めると、先生はバットを背負って私たちに近づいてくる。


「なんで誰一人歌えねぇんだよ。
おい、いつき!二番の出だしはなんだ!」

「はい!二番......、しらくもの?」

「全然違う!緑生い茂る、だ!

おいおいどうなってんだ、お前たちは!
一年はともかく、二年と三年!一年以上も通ってる高校の校歌が歌えないなんてどういうことだ!」


全くの正論です......。

お怒りの高田先生に、みんなは腕を後ろに組み、大きい声ではい!と返事をする。


「勝ったら校歌が流れるって分かってるのか?
球場でも口パクするつもりか!?
それとも勝つ気がないのか!」

「違います!あります!」

「それなら明日までに覚えてこい!
いいな?一人ずつテストするからな!」


げっ......、テストって。

先生は叫びたいだけ叫びちらかすと、さっさとグラウンドから校舎の方に行ってしまった。
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