ふりむいてよキャプテン
「そう。じゃあ、順番にやっていこう。

まずはキャプテンの佐藤先輩から。
この一番上に佐藤って書いて」



てっきり呆れられたかと思ったのに、イヤミ言うこともフォローを入れることもなく。

小野くんは靴を置いて、私のペンケースからペンを勝手に出して、それを持ってここ、と紙をトントンする。


小野くん怒ってるみたいなしゃべり方するからちょっと怖いけど、やっぱり、優しいよね......。


靴磨いてた手をふいてないけど、大丈夫。
私そういうの全然気にしないから。

私のペンにちょっと泥がついたとか、そういうの全然気にしないから。



「えっと、佐藤、と」



たくさん線が引いてある成績表の一番上のマス、小野くんが指しているところに、キャプテンの名前をフルネームで書く。
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