ふりむいてよキャプテン
「次に佐藤先輩の打席数えて。
ここ、ひしがたのとこ」


「う、うん、いち、に、さん......あ、ご、ごめん」



キャプテンの打席数を数えていたら、スコアブックを指していた小野くんの手に当たって、あわててそれをひく。

動揺して思わず変な声まで出ちゃったし。


って、なんでこんなことで動揺しなきゃいけないの。

毎日のボール渡しで高田先生や他の先輩方、運がいいときなんて、キャプテンの手にさえ触れることは日常茶飯事だというのに。


土曜に小野くんのいつもと違うとこ見たからか、なんだか妙に意識してしまう。

こんなとこ気にしてるのは私だけだろうけど......。






無駄に少女漫画ちっくに意識しながら、結局小野くんは全部一緒にやってくれた。

土日の試合に一打席でも出ていた人含め28人分、ヒットからエラーから何から何までぜんぶ。
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