ふりむいてよキャプテン
にっしーのことが好きだよ。

そう言おうとする前に、にっしーは私の手をさりげなく離した。


「何回も俺フラれてるのにな、ごめん、もう絶対にあんなことしたりしない。俺に償えることなら何でもするから。
もう中途半端なことしたりしないし、部活にも集中する。
春の大会は結果残せるようにがんばる」


野球で償ってほしいわけじゃないんだけど......。
そもそも償ってほしいなんて、私はみじんも思ってない。

なんだかとことん噛み合わなくて、タイミングが合わないにっしーに得体のしれない不安感が心を覆っていく。


「もう野球のことしか考えないから」


はいきた、またこのパターン。

暗がりの中、とうとう小野くんみたいなことを言い出したその瞬間、にっしーに見切りをつけることが決定した。
< 528 / 604 >

この作品をシェア

pagetop