ふりむいてよキャプテン
私は野球しかみてない好きな人がほしいわけじゃない。
彼氏、がほしいんだよ。

野球に集中するのは全然かまわない、私は二の次でもいい。


だけどね。
いまどき、野球の強豪校も、あの恋愛禁止のアイドルグループも、恋愛禁止なんて建前だけで、裏では絶対内緒で付き合ってるよっ!

小野くんの時の二の舞はもうごめんだ。


最後までしちゃってたらあれだけど、幸いにも?未遂だから、まだ引き返せる。

そうだよ、にっしーを好きなんて思ったのは一時の気の迷い。仮に好きだったとしても、いま、この瞬間にもう好きじゃなくなった。


私がどんな気持ちであの日にっしーの家に行ったのか気づきもしないで、後悔してるとまで言われて。
あげくの果てには何を勘違いしたのか、わけのわからない方法で償いをするという。


「ふーん......、いいんじゃない?
じゃあ、私そろそろ帰るね、ばいばいにっしー」


もう、そんな人、好きじゃない......。
一度冷えた女の心は簡単には戻らないんだよ、にっしー。

作り笑顔を張りつけ、自転車に鍵を指す。
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