ふりむいてよキャプテン
｢なんか怒ってる？
帰るなら一緒に帰ろうよ、送ってく｣

｢いいよ一人で帰れるから。英語の予習あるんでしょ？｣

｢大丈夫大丈夫、明日の古典の時間にやるから｣

｢たまにはちゃんと家でやった方がいいんじゃない？
......あ、ミッチー！今帰り？
方向一緒なんだし、たまには一緒に帰ろうよ｣


ちょうどタイミングよくミッチーを見つけて、大げさに手をふってみせる。


にっしーに悪気はないんだ、それは分かってる。
にっしーってちょっとバカで、女心に鈍感なだけだし。


でもね、にっしー。
いくら私のことをずっと大切に思ってくれているからって、私の心がにっしーに傾きかけているからって、関係ない。

こういう大事な場面でひとつでも対応を間違えたら、それで終わりなんだよ。


ほら、九回裏ツーアウト満塁１打逆転の場面でのセンターライナーみたいな。

後から今のもう少し右に抜けてれば逆転だったのに、っていくら言ってても意味ないでしょ？

後からいくら言っても、結果はスリーアウトチェンジゲームセットだよ。もう取り返しがつかない。






にっしーならそんなこと、よく分かってるんじゃないの？

にっしーから逃れるように、ミッチーの元に自転車を押していって、ミッチーと二人で帰った。
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