ふりむいてよキャプテン
「そっか......」


片付けも、最後の挨拶も終わり、後は帰るだけ。
帰りの車を待ちながら、みんなから少し離れたところで制服に着替えたにっしーと話していた。


まだ気持ちの整理がつかないから、と先ほどの小野くんと同じようなことを言って同じように断った。


小野くんじゃないけど、私もにっしーには何回も何回も揺れたし、一時は本気で好きになりかけた。

きっとタイミングさえ合えば、にっしーと付き合っていたと思う。だけど残念ながらにっしーとはタイミングが合わなかった。


「仕方ないか......。
大学行って、可愛い彼女作るかな」

「うん、そうだよ。
にっしーならすぐに可愛い彼女できるよ」


かるーいノリで言ったにっしーに、私もさらっと返すと、にっしーはさっきまでいた球場に一度目を向けてから、真顔でこちらに向き直った。


「もし十年後もお互いフリーだったら......、結婚するか」


最初の方真顔だったのに、急に恥ずかしくなったのか自分で言って自分で照れてるにっしーに、思わず笑ってしまった。


「なんで突然プロポーズ?
......いいよ、しよっか」


にっしーがどこまで本気で言ってるのか分からないけれど、少なくとも私は本気で答えた。


どっちかに恋人がいたり時期じゃなかったりで、タイミングが合うことなんてたぶんないだろうけど、もしもタイミングさえ合えば......。

そうしてもいいと思うくらいには、にっしーのことは信頼してるし、好きだ。
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