【完】幸せをくれたあなたに。
「え……。今の、松井の声……だよね?」
「ウッソ。声やば」
松井くんの声でみんなが耳を傾ける。
「イケボかよっ!!」
「なにあの声」
シーンとなったかと思えば、松井くんの声に騒ぐ女子たち。
松井くんを見てみると、驚いてるわけでもなく常に無表情だった。
松井くんに向けた視線から、前を向こうとすると、
見ようとしてたわけでもない、藍那に目がいった。
すぐに逸らせば、よかったものの、藍那の見る視線は唖然とした表情と、まるで“かっこいい”と言っている表情をしていた。
なんで……。
なんで私が苦しくなってるの。
とりあえず、文化祭のことはなんとか話し終えた。
とはいっても、ほとんど松井くんのおかげなんだけれど。