【完】幸せをくれたあなたに。
「冬弥って呼んで」
「へっ!? む、ムリ!!」
「だめ。琴専用だから、呼んでよ」
そんなふうに言うなんて、ずるい……。
私には、ハードルが高いよ……。
き、キスまでしたくせにっ!!
「ほら、はーやーく」
うっ……。
「と、とう………や………」
「んー? なに? 聞こえない」
絶対聞こえてるくせに!!
「とう、や……」
「んー、まあいいか」
「……くん」
「くん、いらない」
後から恥ずかしくて、付け加えた『くん』を即答でいらないと言われた。
「だって、恥ずかしいもん。私には、これで精一杯なんだから!」
「わかったわかった。けど、俺は琴って呼んでるのに、琴は冬弥“くん”? 距離置かれてるよな」
「えっ……いや、えと」
「んじゃあ、俺もこれから、琴“ちゃん”? それとも、琴“さん”? って呼ぼうかな」
えっ……。
そんなの、
「いや……だ」
そう言うと、満足そうにニヤっと笑った雪くん。
「俺もやだ」
うっ………。
呼ぶしか、ないよね……。