この恋、きみ色に染めたなら

*『成田先輩、待って……!』







成田先輩の姿が完全に見えなくなって、そこで私の体は何かから解放されたかのように動き始め、私はその場に座り込んでしまった。










『…紗希ちゃん!』





すぐに真理子さんが来てくれて、私の体を支えながらなんとかソファーに座らせてくれた。











『紗希ちゃん、大丈夫?』




真理子さんの優しい声が耳に届くも、目に残る先輩の冷たい視線、心に残る先輩の冷たい言葉達が涙を誘う。









『…………先輩………』





言い切る頃には、ポロリと目尻から零れ落ちる涙。



頬を伝って、顎に流れ着く涙は零れ落ちて制服のスカートを濡らしていく。











『………私……先輩……言ってくれたのに……。

 私……先輩以外の人と仲良く……しなければ……落ちてもいい……そう……言ってくれたのに…………どうしよう………。


 ……好きも聞いてもらえない………もう……好きも言えない………』










『……紗希ちゃん、大丈夫だよ。

 肇も……ちょっと嫉妬しちゃっただけだと思うから……』





真理子さんはそう言いながら、私の背中を優しく擦ってくれる。












『………でも………どうしよう……。

 先輩に話したいけど……聞かないって………』







先輩はこんな諦めの悪い私にちゃんと向き合おうとしてくれていたのに……









『肇もつい…つい出た言葉だよ。

 だから冷静になれば話を聞いてくれるよ……?』





真理子さんは一生懸命そう言ってくれるけど……。




初めて見る先輩のあの目は、聞いてくれるような目じゃなかった……













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