うさぎのアンちゃん。
もう一回
次の日の朝。

「 お星様..またあとでね」

そう言うとアンちゃんは、チョウチョと一緒にカモノハシの3兄弟のところへ急ぎました。

するとまた、泣き声が聞こえてきました。

3兄弟:[ママー!! お母さーん!! うぅ...ママー!! ]

アンちゃんは心配して、そうっと昨日3兄弟と掘った穴の中をのぞきました。

すると、3兄弟ともう一人、3兄弟よりも背が高くて、今すぐにでも抱きつきたくなるようなもう一人のカモノハシが、一番小さなカモノハシの兄弟を抱っこしながら、泣くのをなだめていました。


アンちゃんは、ハッとしました。

そうです。
アンちゃんはこの時はじめて″お母さん″という存在を知ったのでした。

カモノハシのお兄ちゃんがアンちゃんを見つけ、〝お母さん″にきのうの出来事を話すと、カモノハシのお母さんはアンちゃんをギュッと抱きしめて〈ありがとう〉と言ったのでした。

初めて、体をぎゅーっとされたアンちゃんは、しばらくぼぅっとしてしまいました。


ぎゅーっとされていた時間が、アンちゃんにとってとても幸せな時間だったのです。


〝ぎゅーっ″がおわると、カモノハシのお母さんは、見つけられなくてごめんなさいと3兄弟にあやまっていました。

そして、もうみんなを見失わないようにずっとそばに付いているから、あなたたちも勝手にどこかに行ったりしないでねと、頭をポンポンとしました。


「...もう一回」


カモノハシのお母さんはアンちゃんを見ました。

「...もう一回...」

その声に気づいたカモノハシのお母さんがアンちゃんがを見ました。

「もう一回、ギューッ..って...」

アンちゃんが最後まで言うまえに、カモノハシのお母さんはアンちゃんを優しく、そして力強くぎゅーっとするのでした。


〝お母さん″はアンちゃんの気持ちがわかったのです。
そしてアンちゃんを受け入れたのです。


そのあとカモノハシのお家へ行き、たくさん話をして〝ご飯″を一緒に食べました。
暗くなってきたので帰らなくちゃとアンちゃんが言うと、カモノハシのお母さんが

〈アンちゃん、ずっとここにいていいのよ? 〉

と優しく言いましたが、アンちゃんは

「ありがとう。でも帰らなくちゃ」

と言いました。

〈じゃあアンちゃんが来たいときに、いつでも来てね〉

とカモノハシのお母さんは言い、またぎゅーっと抱きしめて、お家の中にかざっていたヒルガオをアンちゃんの頭にかざりました。

「とってもステキね! ありがとう! 」

そしてアンちゃんは、もうすぐ現れるお星様のもとへ帰りました。

【アンちゃん、こんばんは】

お星様が言います。

「こんばんは、お星様! 」

急いで帰ってきたので、息をはぁはぁ切らしながらアンちゃんは答えました。

【あらアンちゃん、その頭のお花とってもステキね】

とお星様が言うと、アンちゃんは嬉しそうにカモノハシの親子との出来事をはなしたあとに、

「いつでもおいでねって言ってくれたのよ! うふふふ! 」

と、本当に嬉しそうでした。

お星様も嬉しそうに、明るい星をもっとキラキラさせていました。

【そのお花を見てすぐにわかったわ。本当によかったわね、アンちゃん】

とお星様も嬉しそうに、明るい星をもっとキラキラさせました。

「どうしてすぐにわかったの? お星様」

【アンちゃん、そのお花はねヒルガオっていうお花なのよ。〝キズナ″っていう意味をもっているの】

「きずな? 」

【そう、キズナ。あなたと私は、強い心のつながりでつながっていますよ、家族のような存在ですよって意味なのよ】

アンちゃんの顔がパァッと明るくなり、

「家族!! 家族ができたのね! カモノハシの3兄弟と同じ! 家族なのね! わーい!! 」

と、はしゃぎました。

その日の夜は、アンちゃんはなかなか眠ることができませんでした。


とっても幸せだったからです。


お星様とたくさんお話をして、一緒に作った歌をうたいました。

「おやすみなさい、お星様」

夜の風が気持ちよく、木々がゆれる音を聞きながら、アンちゃんは眠りにつくのでした。

【本当によかったねアンちゃん。だいすきよ】

そうお星様はささやき、すやすやと眠るアンちゃんを優しく照らすのでした。
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