晴天のへきれき?
恋のお荷物?
*****




目が覚めると、ベッドサイドのランプは消えていた。

ブランドから漏れる明かりはすでに月明かりではなく、太陽が上がる前の濃い青。


温かい腕が背中にまわり、ピッタリと寄り添うように室井さんが眠っていた。


その腕から、そっと抜け出す。

しばらくその寝顔を見つめ、それから、そこらへんに散らばった服を集めて身につけた。

立ち上がると、少しふらつく。

それからまた眠ったままの室井さんを振り返る。

眠っている室井さんは、やはり少し幼い。

ふっと微笑んで、小さく頭を下げた。


それから、声に出さない


〝ありがとう〟


ちょっとだけ休んで、そっと寝室を出た。

玄関先のライトはついたまま。

シューズボックスの上にあったバックと、迷って鍵を手にする。


部屋を出て施錠し、新聞受けに鍵を投げ込んだ。

ガシャンとけっこう派手な音がして、一瞬固まって……


えー……と。

起きてないよね?

起きてないといいな。


ギクシャクとした動きで廊下を歩き、すぐに来たエレベーターで階下に降りると、少しぶらぶらしようと決めた。


どうせ二度と来る事はないし。

近所に何があるのか見て回ってみよう。

そうしていたら、この空もすぐ明るくなるはず。

ぼんやり歩くといつも変な方向に行っちゃうから、今日はしっかり周りを見て歩く。

と言っても、まわりはマンションだらけだ。


その中にポツンと、24時間スーパーの看板が見えた。
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