蜘蛛の巣にかかった蝶のようで


「…え?」

「ここなら思い出なんて一切ないだろ?」

そりゃそうだけど…。
今さっき仲良くなったかならないかの男の子の家にあがるのは…。

「さ、あがって?」

「いや、でも…」

「いいから!親は朝早くに仕事行って誰もいないから!それに今更行くところないでしょ?」

まぁ、確かにそうだけど…。
どぎまぎしていると、また強引に手をひかれ、部屋に案内された。

「適当に座って?今飲み物とってくる。」

「あ、ありがとう…。」

「あ、あと!俺のそこにあるクローゼットから部屋着出して着て!制服じゃくつろげないでしょ?」

「えぇ?!いいよ!大丈夫!」

「いいから!今日は思いっきりくつろいでよ!」

じゃ!とだけ言い残して築山君は下に降りていった。
< 15 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop