鬼伐桃史譚 英桃
怒る英桃ら一行を余所(よそ)に、彼らは下卑た笑いを上げながら、長蛇の列を成している梧桐隊と共に去って行った。
「くっそ!」
茜はあまりの苛立ちに我慢できず、地面に落ちていた小石を若侍目がけて投げる。
小石は思いのほか大きな音を立て、若侍らの足元に落ちた。しかし彼らは英桃達を嘲笑(あざわら)うばかりで、相手にもしない。これでは自分達が負け犬の遠吠えのように思えてくる。馬鹿にされた自分達が情けないやら腹立つやらで感情は一向に治まらない。
「バカにしやがって! やっぱ梧桐の部下だぜ!! ムカツク!!!」
茜は大声で自分が猿よばわりされたことを怒った。
「……次に会った時が奴らの最後だ。僕を女だと言った罪は重い……」
大声で梧桐の鬼討伐部隊を何やら罵っている茜の前では、南天が黒い影を落とし、今なら鬼を射殺せるのではないかというほどの、それはそれは恐ろしい笑みを浮かべていた。