残 ―zan―
東京とは不思議なところだ。うるさすぎる大通りを少し抜ければ、水を打ったような静寂に包まれた世界が存在している。

遠くで車や電車の音、人の声が耳に届く。

しかしそれは、僕のいる世界と向こうの世界には1枚の壁があった。この街外れの世界は独特な空気だった。

「ラーメンでいいか」

知人が尋ねる。

「あぁ」

短い返答をする。

街外れの世界の一角にひっそりと佇むラーメン屋。だいぶ古びているが、それはなぜか強い存在感があった。

ラーメン屋の周りが、より一層違っている空気に思えた。なぜか、僕はその店に入るのを戸惑うほどのなにかがあった。
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