残 ―zan―
知人は一人でなにか思いふけているようだ。
僕はあまり人と関係を持たない。人間関係が悪いというわけではない。
ただ、わざわざ大勢のところに入っていくなら一人で居たいだけなんだ。

知人はそんな僕を全て見透かしたように僕に近付いてきた。なにかを言うわけでも、するわけでもなくただ近くにいるだけだった。

｢お待ちどうさま｣

目の前にラーメンが出てきた。チャーシュー、玉子、メンマ、ネギがのっかっているシンプルなラーメン。なかなか美味しそうだ。

いだだきます、と呟きスープを一口すする。

｢…美味い｣

知人も同じことを感じていた。驚いた。こんなに美味しいとは。
ラーメンは生まれてこの方数え切れないほど食べてきているが、こんなに美味しいラーメンは初めてだった。

麺は少し固めのちぢれ麺で歯応えを感じさせ、麦のそのものの味を引きだたせている。

他の具材も美味しいが、なによりスープが美味い。さらりとした舌触りの中でしっかりとした軸があるスープだった。
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