忍び寄るモノ

「俺も資料室に行きたいんですけど二人でならいいですか?」

「それは……」

先生は困ったような表情で岡本君と私を交互に見るとやがて「分かりました」と小さく息を吐き出した後に言った。

「本当ですか!?」

誰かを誘うのはなかなかできそうになかったから岡本君がそう言ってくれて嬉しい。

だけど具合は大丈夫なのかな?

先生も同じことを思ったみたいで「体調がすぐれないなら無理はしないでください」と岡本君に話している。

「それは落ち着いてきたから大丈夫です」

「それでは昼休みに資料室を開けますから昼食をとったら職員室まできてください」

「はい! ありがとうございます!」

私が嬉しい気持ちを隠さずに返事をすると先生は困ったような笑顔を残して私達に背中を向けて遠くなっていく。

「いきなり割って入ってごめん」

「ううん。一人じゃ行けそうになかったから逆に助かったよ! でも岡本君が私と同じ考えを持つなんて思わなかった」

「ああ、似てるようで違うかもしれないな。響也とはけっこう親しかったから犯人に繋がる物が少しでもあればいいと思ってさ」

「そうだったんだ……」

だから昨日はあんなに具合が悪そうだったんだ。

今日は昨日ほど顔色が悪くはないみたいだからよかった。

──勝負は昼休み。

少しでも多くのことをつかめたらいい。

資料室に行く前に奈々ちゃんにはちゃんと話しておかないとね。

危ないって怒られちゃうかもしれないけど今は少しでも情報がほしいから。

岡本君と一緒に教室に戻りながら今日は急いでお昼ご飯を食べなきゃと思った。

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