懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
だけど、大人しい悠がこの2人だけを誘って旅行に来るのはおかしい。


だから、いつものメンバー全員を誘ったんだ。


「僕の目的は果たされた。手伝ってくれた原正君には約束通り1億を支払うよ」


「あぁ。サンキュ。これで兄貴の店も大きくできるよ」


俺はそう言い、笑う。


兄貴の店とは、嵐が気に入っていた《Bird》のことだ。


あの店の経営者は俺の腹違いの兄だった。


だから、嵐をおだててあのブランドを買わせていたのだ。


それが、結果的にこんなことにつながってしまうとは思ってもいなかったけれど。


ともあれ、これで三つ目の殖財がそろったわけだ。


「それより、なんで俺を選んだんだ?」


最初、悠がこの話を持ちかけてきたのは卒業式の日の事だった。


悠は俺の家のこともよく調べてあり、《Bird》が今経営難であることを知っていた。


そして俺自身が、兄貴を慕っているということも。


他のメンバーの事も、調べてあった。
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