懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
彗は一見大人しそうだが、その見た目を利用して沢山の男に取り入っていた。


良は幼い子を盗撮し、嵐は人殺しだ。


百合と春姫に関しては、仲がいいフリをしながら互いに嫌いあい、陰では悪口が絶えなかったらしい。


「原正君は人間らしくないから」


その答えに、俺は瞬きをした。


「人間らしくない?」


「そう。誰とも仲良くもしないし、誰かを好きにもならない。


感情を持っているように見えるけれど、実際は違う。何にもとらわれず、干渉しないだろ?」


そう言われ、俺は自分の腕にはめている百合のヘアゴムを見た。


悠の言う通りだ。


俺は、俺以外の人間が今日ここで死ぬことを知っていた。


だけど、止めなかった。


助けなかった。


辛い、苦しいと、自分自身に言い聞かせていただけだった。


本心は……無、だった。


なにも感じなかった。
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