懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
誰もが彗の行動を見守るしかできなかった。


彗は小刻みに震える手でスプーンを持ったまま、動けずにいる。


だけど、このまま何もせずにいると言う事は、俺たちはここから永遠に出られないという事を指している。


彗にも、それは十分わかっていた。


しばらく立ちつくしていた彗が、ゆっくりと動き出したのだ。


悠の死体のそばまで移動し、その場に膝をつく。


「彗……」


百合が名前を呼ぶ。


だけど、その後の言葉は何も続かなかった。


ここにいる全員がかたずを飲んで彗の次の行動を見守っていた。


『嘘だよ、彗。騙してごめんね』


『冗談だって。こんな部屋早く出よう』


『クルージング再開しようぜ』


そう声をかけれたら、どれだけ幸せだろうか。
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