異常って言われても構わない。
「うっし、そろそろ帰るかな。」


時雨がすくっと立ち上がる。

そういえば外はとっくに真っ暗だ。


「帰るのか?
 どうせなら泊まって行けば…」

「泊まったら俺歯止めきかないから♪」

「…っ///」


近所だからあまり危険じゃないだろうが
夜道を一人で帰すのはやっぱり心配だから言ったのに…。


「じゃあ送ってくよ。」


男だけど時雨は綺麗だから
痴漢に遇われたら困る。


「大丈夫だって。
 つか、俺送った後明希を一人で帰すとか
 危なすぎて無理だから。」

「俺は全然…」

「いーの!!
 俺が嫌なの!!」


時雨はちょっとムッとして
また俺の頭を撫でた。


「彼氏の言うことは聞きなさい
 明希ちゃん。」

「ちゃん言うな!」


とか言いつつも…『彼氏』。
思わずニヤける。

そっか…時雨は俺の彼氏なんだ。

俺は…


「…ん?俺は彼女?!」

「でしょ♪」


さも当たり前かのように時雨は微笑む。

待て待て待て待て!
おかしいだろそんなの!!


「俺が彼氏がいい!」

「もー駄々こねないの。
 じゃあ二人共彼氏ってことね?」


そう言って
時雨はかがんで俺の頭にキスをした。

そしてそのまま囁く。


「ねえ…明希はゆっくりって言ってたけど
 俺は早くても全然いいよ。」

「…え?」


俺何言ったっけ?

時雨は俺から離れて
出て行く直前にドアの間から顔を出して


「エッチ♪」


と言って部屋を後にした。


「?!///」


その日俺が眠れなかったことは
言うまでもない。
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